指揮者だって人間だ

晴れた日には洗濯を。

花は咲く

何日か前の夕方、なんとなくチャンネルを回したNHKでやっていた震災復興プロジェクト番組に目がとまりました。

震災復興ソング「花は咲く」をアイスリンクで歌う子供達の合唱団とそれに合わせて踊る荒川静香と子供達のスケーターという企画で、子供達が歌うまっすぐな故郷への想いと、本当に花が咲き開くようなスケーターの美しい演技に心奪われてつい見入ってしまいました。
番組を見て改めて感じたのは歌の持つ力。
歌は言葉よりも強い力を持っていると本当に思います。

 

花は咲く

花は咲く

 

 

私は19年前、阪神淡路大震災被災しました。

震源の中心地ではなかったので家が倒壊したりはしなかったものの本棚や仏壇が倒れてきて、死ぬかもしれないと非常に怖い思いをしたことを鮮明に覚えています。
幸い私の親戚で震災で亡くなった人はいませんでしたが、身内が亡くなった人も身近に何人かいました。
住む家がなくなった人たちに提供されるプレハブの仮設住宅というものが近所にたくさん立って、自分にとってはそれが震災の象徴でした。
ちなみに関西の人は「あれは震災の前やったっけ?」とかよく言います。
色々な意味で時代に大きなくさびを打った90年代を代表する出来事だったと思います。
 
数ヶ月たつと、「震災」という文字よりも「復興」という文字をよく見るようになりました。
テレビでも新聞でも復興支援の活動をたくさんしていただき、救援物資が届いたりもしました。
購読していた進研ゼミからは文房具が届いて驚いたことを覚えています。
文房具そのものよりも、こちらを見てくれているという気持ちが嬉しかったです。
 
さらにそれから数年すると、今度は復興という文字もほとんどメディアにでてこなくなりました。
2000年を過ぎて少ししたくらいにはかなり減っていたと思います。
まだ近所にプレハブの仮設住宅は残っているし、住む家が決まっていない人もたくさんいる。
問題が山積みなのに世間からどんどん震災のことが忘れ去られて行くのが怖くありました。
いちおうニュースでもたまに触れられてはいたのですが、震災復興は「どこかで誰かがやっているもの」という認識だったんじゃないでしょうか。
復興住宅でコミュニティを失ったお年寄りたちが孤独死していくのに、誰もそれを気に留めない。
無関心が恐ろしかったです。
 
人々の関心をつなぎとめるという意味で、NHKの「花は咲く」はとてもよくできた取り組みだと思います。
私が初めてこの曲を聴いたのは2013年の紅白歌合戦でした。
震災で亡くなった人が叶えたかった夢や残してきた人への思いを懐かしみ、いつかまた花は咲くことを祈って歌う穏やかな歌で、綾瀬はるかが泣きながら歌っている姿が強烈に印象に残り、歌詞とメロディーがすっと心に染み込み、一発で曲を覚えました。
(もちろん菅野よう子さんの曲も耳に残りやすくてよかったのだとは思いますが)
本当に素直に感動して、ちょっともらい泣きしました。
 
この歌はNHKの番組と番組の合間で3秒ほどのジングルとしても流れるんですよね。
その度に、ああ震災はまだ終わってはいないと感じます。
収益が募金になるチャリティーソングでもあるので、町でたまに地域の吹奏楽団が演奏したりなんかもしていて、その度にああやってるな、とも思います。
震災を風化させないためには、「東日本大震災を忘れていませんか」と言うよりも、花が咲くを聞いた方がずっと心に響くんじゃないでしょうか。
歌にはそれだけの力があると思いますし、記憶にも残ると思います。
 
歌を歌って安っぽい共感に酔うのは恥ずべきことかもしれません。
被災者の方に向かって私が簡単に「その苦しみわかるよ」と言ってはいけないとは思います。
ただ、震災は忘れてはならない。
故郷を、大切な人を失ったあの日からのことを他人事にしないためにこの歌を覚えておこうと思います。

 

花は咲く

花は咲く

 


花は咲く

花は咲く

 
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